クリーニングに衣類を出すと、ビニールのカバーがかかった状態で返却されますよね。
このビニール、家へ持ち帰った後どうされていますか?
もしかして、ビニールのカバーをつけたままクローゼットにしまっていませんか?

ビニールカバーの役割は自宅までの汚れよけ

クリーニング店でお預かりした衣類は、洗い終わり工場から出荷するときに、
配送用の車に積んでから各店に納品されます。
商品がお客様のお手元に戻るまで、車の中、店舗の中、お持ち帰りの際に、
汚れやほこりがついたり、雨に濡れないようにするのが配送用ビニールの役割です。

配送用ビニールの変化

当初、きりいでは配送用ビニールに透明のPP(ポリプロピレン)を使用していました。

10年以上前のこと、役所から電話がありました。
「クリーニング店でつかわれるビニールのゴミ焼却負荷を減らすため、自主回収してほしい」
という依頼でした。
他の業種と全体で対策するならともかく、なぜクリーニング店だけ??
自主回収はあまりにもコストがかかりすぎます。対応を考えた結果、
使用するビニールを、PPに対しての10分の1ほどの薄さになる
HDポリエチレン(ハイデンポリエチレン)に変更することになりました。
ごみの重さとしても10分の1程度になり、ごみの削減を実現できました。

使ってわかったHDの利点

そして使ってみると、HDは利点の多い素材でした。
HDは乳白色なのですが、これは可塑剤(柔軟剤のようなもの)を使用しているためです。
可塑剤の入ったHDでは、埃を吸わず静電気が起こりにくいです。
また、PPに比べ、透明度が低くなるかわりに、破れにくいという利点もありました。
これらは使ってみて初めてわかった良い点です。
見栄えは劣ってはしまいますが、HDに変えたことで、
埃がつかない・破れない・ごみの削減になる、という利点が上回ったのです。

このHDが、現在きりいで使用している配送用ビニールです。

さて、汚れやほこりがつかないわけですし、
HDのシャリシャリとした素材感もあってか、
ついビニールのかかったままクローゼットにしまわれる方もいらっしゃると思います。
でもそれはとてもリスクのあることなのです。

メリットなし!ビニールをつけたままクローゼットに入れると…?

今年は梅雨入りが5月と早く、8月、9月も雨の日が多いですね。
それもあってか、ビニールのカバーがついたまま
「カビが生えた」という商品の戻りが多くあります。

よく考えてみると、現代の住宅はすきま風なんてありませんよね。とても密閉度が高くなっています。
冬になっても、ウイルス対策やのどや肌を乾燥から守るために加湿器を使用したりしますよね。
人間がある程度快適に過ごそうと思うと、湿度が要るわけですが、
これらの状況はカビにとっては好条件です。
ここにビニールのカバーがついたままの衣類をクローゼットにいれてしまうと、
ビニールの中に湿気がたまってカビの発生に
つながってしまいます。
配送用ビニールはあくまでご自宅までの汚れよけです。
クローゼットに入れる際はかならずビニールは外していただくのが重要です。

さいごに

ウールやシルクなどの動物性繊維は、湿気を吸うと、つってあるだけで若干縮みます。
これを乾燥機にいれるとふわっとサイズが元に戻るわけですが、
ふとんを干したときと同じで、水分がなくなるためにふわふわになるのです。
水分は良いこともあるし悪いこともあります。
でも配送用ビニールのなかの水分は良いことはありません!

クリーニングから戻ってきた衣類のビニールカバーは必ず外していただくのが、
保管の際の一番重要なこと
だということをご理解いただきたいと思います。

※一般的にわかりやすさを考慮してビニールと表現していますが、正式にはポリカバーです。