「同じ素材のはずなのに取扱い表示が違う」
「“水洗い可”ってあるのに、水洗いすると縮むの??」
と疑問に思われたことはありませんか?
今回は取扱い表示(洗濯表示)について、
どのように取扱い表示が決まるのか、という点からお話ししていきます。
外国製の服を買ったら、違う取扱い表示が2種類ついてる!?どちらを信じれば良い??
外国製のお洋服を買った時、取扱い表示を確認すると、
生産地のラベルと日本の販売会社のラベルで内容が全く異なる場合があります。
例えば、片方のラベルは「ドライクリーニング OK ・水洗い不可」、それなのに
日本語で書かれた販売メーカーのラベルには全く逆の洗い方法が表示されている、
というようなことがあるのです。
なぜ同じ商品に対してまったく違う取扱い表示になってしまうのか、消費者の方は疑問に感じられると思います。
洗濯表示はその国の洗濯事情に合わせて決められる
国によって水質が異なるのはみなさん想像ができるのではないかと思います。
それに加え、それぞれの国の洗濯方法、洗濯に使用する機械など様々な違いがあります。
こういった、その国の洗濯事情に適した取扱い表示が使われることが大半なのです。
取扱い表示は法律で義務付けられているため、外国製の服を輸入して販売する企業は
日本の洗濯事情に合わせた表示をつけます。
ですので先述のように「生産地と販売国のラベルがそれぞれついている」という場合は、
日本語で書いてある取扱い表示に従うのが適切と考えて良いと思います。
同じ素材・同じような服なのに、洗濯表示が違うのはなぜ?
また、似たような素材・デザインのお洋服で、
一方は水洗い OK、でももう一方は水洗い不可・ドライクリーニングOK、
といった取扱い表示になっていることがあります。
アパレルメーカーは、洗濯表示の決定にあたって
JIS (日本産業規格)によって規定された試験方法で衣類を検査するのですが、
その結果から洗濯表示を決定する際の基準はメーカーの判断に任せられているというのが実情なのです。
同じ試験方法でも、
水洗いによって3%縮んだからドライマークにする・5%縮んだからドライマークにする
という判断基準は、メーカーが持っているというわけです。
「水洗い可」は「水洗いで縮まない」という意味ではないの?
「取扱い表示に“水洗い可”って書いてあれば、水洗いしても縮まないものなんじゃないの?」
という風に思われている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、そもそも服というのは水で洗ったあと原寸に戻ることが極めて難しいものなのです。
何パーセントかは縮む、というのが製造側の基本的なスタンスなのではないかと思うわけです。
先述のように、水洗いによる縮みをどこまで許容して「水洗い可」とするかはメーカー毎の判断です。
ですから、洗濯表示で水洗い可能=水洗いで絶対に縮まないという解釈はせず、
プロ・家庭内に関わらず、水洗いをすると、若干の割合の違いはあっても縮むのはほぼ必然である、
と考えていただきたいと思います。
水洗いできそうなのに、「ドライクリーニング」表示なのはなぜ?
基本的に綿のブラウスは水洗い、というのが普通の考えかと思いますが、
取扱い表示をみるとドライクリーニングの表示がついているケースが結構多いです。
このケースは、例えばフリルがついていて、水で洗うとフリルが傷むと想定される場合や、
襟の中に、レーヨンやシルクといった水に弱い素材の芯地が使われている場合に、
傷む確率の低いドライクリーニングの取扱い表示にする、という判断をメーカーがしていると考えられます。
このように、ぱっと見で水洗いできそうでも、取扱い表示ではドライクリーニングになっている、
ということがあります。
その観点から、いわゆるブラウスで気をつけていただきたいのが、
ポケットのふちや襟の先など部分的に皮が使われている場合です。
合成皮革ならよいのですが、本革だった場合、水で洗うと色が出るリスクがあります。
ブラウスは家庭洗いで済ませたい、という場合は、皮のついていないものを選んでいただくのがよいでしょう。
まとめ
洗濯表示は、最終的にはメーカー判断。
・規定された同じ試験方法の検査でも、
どこまでの縮みを許容して「水洗い可」とするかどうかの判断基準はメーカーによって異なる。
洗濯表示の水洗い可能=水洗いで絶対に縮まないという解釈はせず、
「プロでも家庭でも水洗いをすると基本的に衣類は縮む」と考えた方がよい。
「綿のブラウスなら水洗いできそう」というように、ぱっと見で水洗いできそうでも、フリルがあったり、襟の芯地に水に弱い素材が使われていたりするとドライクリーニングの表示になっていることがある。
特に、部分的に本革が使われている場合は水洗いで色が出るリスクがあるので、ブラウスは家庭洗いで済ませたいなら注意が必要。